「意識改革」はチーム経営の第一歩 「学内で好成績を残している他の部に比べ、就任前の数年は低迷した状態で、部としてはなんともひどい状態でした」という競走部。渡辺駅伝監督は就任後、まず部の「意識改革」に心を砕いたのだそうです。
下を向いていた部員に上を向かせ、個々の選手ごとに高い目標を持たせ、それを目指し、励む。言葉にすれば簡単に思えることでも、学生たちの中にはなかなか芽吹くものではありません。合宿生活や練習といった日常の生活の中で少しづつ培い、早稲田の伝統や礼儀正しさなどを支えに、この芽を育てていく。そして次第に部の中の「負のオーラ」のようなものを解き放っていったのだと言います。
「弱くなってしまった意識を変えること」、それが競走部というひとつのチームを経営する第一歩となったのです。
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「部内競争の活性化」を促しチーム全体を盛り上げる学年・経験を問わず、成績・記録のいい選手がレギュラー・ポジションを得られるような環境を作り出し、部員たちの間に緊張感を生むようにもしたという監督。
「大舞台の重圧に負けない強い精神力は、経験を積まなければ得られない」という信念のもと、機会があれば1年生や2年生でも積極的に大会に起用していくようにし、そこで結果を残した選手を次に登用していくといいます。
レギュラーの座を勝ち取った自信が選手をより練習へと打ち込ませるようになり、またレギュラーになれなかった二軍の選手たちは、次のレギュラーを狙ってやはり日々練習に励むようになる。部の内側でお互いに競い合う状況は、選手たちに大きな刺激になったようです。 |
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切磋琢磨が「部」というチームを成長させる「この監督ならば、いい成績を出せば認めてくれる」
風通しがよい部内の空気を、選手たちも敏感に感じ取ったのでしょう。部員からも、「厳しいけれど、優しい監督です」という声を聞くことができました。年齢がそれほど離れていないこともあるのかもしれませんが、厳しい中にも、平等にチャンスを与えつつ、一本筋が通った理念を持って部を引っ張っています。
このように、部員から「親しみやすく頼れる存在」として信頼を得ている渡辺駅伝監督ですが、反面、伸び悩み、一定のレベルに達しない選手や、寮生活や練習などの共同生活についていけない部員は外していったとのこと。信賞必罰ではないけれど、これもチームとしての一定のルール。いずれにしろ選手たちにはわかりやすい環境ができ上がっていったのです。
「周りとの和を乱すような選手に、伸びる選手はいませんね。なかには共同生活(寮生活)が苦手な子、というのはいますけどね。まだ学生ですから」と笑顔で語る監督。
選手たちは基本的に寮暮らし。共同生活を送るうちに、連帯意識も芽生えていきます。たった独りで自らを鍛え上げていくのではなく、ともに助け合いながら「部」というチームとなって成長していく。そのため、選抜メンバーには「駅伝チーム」という特別な意識はなく、あくまで「部の一員」である、という意識が強いのだそうです。
ともに支えあい、ともに競い合い、ともに育ってきた…そんな連帯感が、今の早稲田大学競走部の原動力となっているよう。
「早稲田の競走部のメンバーは、一般入試で入学してくる生徒たちですので、レベルの差や個人差がかなりあります。ふるいにかけられてしまうこともありますが、逆にいえばそういう子達にも駅伝出場のチャンスがあるわけです。そこが少数精鋭(現在34人)の強みでもありますね」。
少人数であれば、監督とコーチですべての選手のフィジカル、メンタル面をケアすることができる、と監督。「今度の箱根駅伝にも『高い目標』を掲げて挑みますよ。選手たちも十分に自覚しているので、楽しみですね」と、笑顔と一緒に強い言葉で締めくくっていただきました。 |